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- 国庫帰属の相続土地『最大93%値引き』売却へ
2026/08/01
国庫帰属の相続土地『最大93%値引き』売却へ
国もまた『売れない土地』に苦しんでいる
相続した土地を国に引き取ってもらう『相続土地国庫帰属制度』。
2023年4月の運用開始から3年が経過し、申請は約 5,500件、実際に国庫へ帰属した土地は約 2,800件にのぼります。
ところがいま、この制度で国が引き取った土地の『その後』が注目を集めています。
財政制度等審議会(国有財産分科会)での検討内容として、買い手が付かない土地は現状有姿のまま3割値引きし、その後も3か月ごとに10%ずつ価格を引き下げ、2年3か月後には最大93%引きまで下げて売り払う、という方針が報じられたのです。
国庫帰属制度で国が引き取った土地のなかには、9割引きにしなければ買い手がつかない。
この事実は、不動産と相続に日々向き合う私たちにとって、決して他人事ではありません。
相続土地国庫帰属制度のおさらい
相続土地国庫帰属制度は、所有者不明土地の発生を抑制する目的で創設されました(相続土地国庫帰属法第1条)。
相続または遺贈によって土地を取得した方が、法務局の審査を経て承認されれば、負担金は基本が20万円で市街化区域や用途地域が指定された土地、農用地等は面積に応じた額を国に納め土地を国に引き取ってもらえる仕組みです。
例(法務省ホームページから計算)
① 市街化区域または用途地域が指定された宅地
土地面積 200㎡の場合
負担金/約80万円
② 市街化区域または用途地域が指定された農地
土地面積 2,000㎡の場合
負担金/約187万円
③ 森林として利用されている土地
土地面積 2,000㎡の場合
負担金/約28.2万円
実務上のポイントを整理すると、次のとおりです。
・測量は不要。土地の位置・範囲を示す図面は、測量の成果に基づいて作成されたものである必要はないとされています(施行規則に係るパブリックコメント回答)。
・ただし境界の表示は必要です。
境界標・ブロック塀・道路のへりなど『目印程度』の境界点を写真で示せば足り、境界争いのある土地は引き取られません。
・共有地については、相続以外の原因で持分を取得した共有者(法人を含む)も、相続等で取得した共有者と共同であれば申請できます(同法2条2項)。
『測量不要』という緩やかな運用がとられたのは、国が転売を前提とせず、引き取った土地を『永続的に管理する』建前だったためです。
ところが実際には、管理費用だけがかさむ土地を抱え続けることになり、国は売却へと大きく舵を切りつつある・・・
これが今回の『93%値引き』報道の背景です。
一般競争入札での売却実績は「ゼロ」
審議会資料によれば、国庫帰属した土地の45%は台帳価格 100万円以下。
従来の一般競争入札方式では売却実績がなかったとされ、今後は100万円以下の土地を随意契約に切り替えたうえ、測量や埋設物調査を省いた現状有姿売買であれば当初から 3割引きとする案が示されています。
さらに見逃せないのが、民間市場の実態に関する指摘です。
遊休状態の相続不動産は、相続税評価額の1割程度でしか売れないケースも珍しくない――。
これは、私たちが日々の相談業務を通じて実感している現実とも一致します。
【 1物件6価 】 評価額は『売れる価格』ではありません
当社では、不動産は『1物件6価』、すなわち1つの不動産には複数の異なる価格が存在することをご説明しています。
固定資産税評価額、相続税路線価、公示価格、そして実際に市場で成約する実勢価格。
これらは一致しません。
とりわけ郊外の団地、接道条件の悪い土地、市街化調整区域、山林などでは、相続税評価額と実勢価格が大きく乖離し、評価額を大幅に下回る価格でしか売れない、あるいは値段がつかないことすらあります。
国が3か月ごとに機械的に値引きしてでも土地を手放そうとする姿勢は、「持ち続けること自体がコストである」という『負動産や腐動産』の本質を、国自身が認めたものと言えるでしょう。
国庫帰属か、民間売却か ― 手放す前の検討順序
では、使い道のない相続土地は、すぐに国庫帰属を申請すべきなのでしょうか。
私たちは、次の順序でのご検討をお勧めしています。
第1に、民間での売却可能性の確認です。
国が9割引きでも売ろうとする土地に、隣接地の所有者であれば価値を見出すことがあります。
隣地への打診、低廉譲渡、場合によっては負担付きの引き取りサービスの検討など、選択肢は一つではありません。
第2に、費用と時間の比較です。
国庫帰属には審査手数料と面積に応じた負担金がかかり、承認までの標準処理期間は8か月程度とされています。
建物のある土地や境界争いのある土地は、そもそも対象外です。
第3に、制度見直しリスクの考慮です。
同法は 2028年に見直しが予定されており(法附則)、売却の窓口を担う財務局・農林水産省の側から、入口である法務局の審査に対して厳格化を求める声が強まる可能性も指摘されています。
『いずれ手放すつもり』の土地をお持ちの方は、要件が比較的緩やかな今のうちに検討を始めておくことを強くお勧め致します。
最後に
株式会社出島不動産相続相談所は、奈良・大阪を中心に、相続不動産の売却から家族信託・遺言の作成支援、国庫帰属制度の活用まで、「出口」を見据えたご相談を初回無料で承っています。
「この土地は、結局いくらなら売れるのか」「国に引き取ってもらうべきか」――評価額ではなく実勢価格に基づいた、現実的な選択肢をご提示します。売れない土地を次の世代に引き継がせないために、まずはお気軽にご相談ください。
※本稿は、財政制度等審議会(国有財産分科会)資料等に関する報道・公表情報に基づいて作成しています。制度の詳細および最新情報は、法務省ホームページ等で必ずご確認ください。


