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  2. 成年後見制度、自治体申請 1万件超え

2026/05/03

成年後見制度、自治体申請 1万件超え

 

昨日のニュースで非常に危機感を抱くデータが発表されました。

出島不動産相続相談所

それは、成年後見制度において、市区町村長が申し立てを行う『首長申し立て』が、2025年に制度開始以来初めて1万件を突破し、全体の約4分の1を占めるに至ったという事実です。

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メディアでは『孤立する高齢者のためのセーフティーネット』として好意的に報じられる側面もありますが、不動産相続や後見の実務を担う立場から申し上げますと、この数字の裏には、ご家族や親族を巻き込む恐ろしい『闇』が潜んでいます。

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今回は、このニュースから読み解く成年後見制度の恐ろしさと、手遅れになる前に知っておくべき真実について、お伝えいたします。

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1. 『首長申し立て』とは何か?なぜ急増しているのか

そもそも成年後見制度とは、認知症などで判断能力が低下した方の財産を守るための制度です。

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通常は配偶者や子供などの親族が家庭裁判所に申し立てを行います。

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しかし、身寄りが全くない方や、親族がいても何らかの理由で支援が期待できない方の場合、そのままでは本人の生活が立ち行かなくなります。

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そこで、本人の居住地の市区町村長が代わりに申し立てを行うのが『首長申し立て』です。

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2000年の制度開始当初はわずか23件だったものが、現在では 1万件を超え、全体の 23.7%を占めるまでになりました。

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これは紛れもなく、日本社会において『孤立する高齢者』が急増している証左です。

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最高裁判所事務総局家庭局 資料より

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しかし、問題はここからです。

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記事の中にも『自治体の一方的な判断で利用を開始させられた』と親族が訴えるケースが出ていると指摘されています。

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長年疎遠になっていたとはいえ、親族からすれば『突然、見ず知らずの専門家(弁護士や司法書士など)が親の財産をすべて管理することになり、自分たちは一切手出しができなくなった』という事態に陥るわけです。

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これが最初の軋轢を生みます。

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2. 『完全なる資産凍結』

私が最も危惧しているのは、成年後見人がついた瞬間に発生する『不動産の完全凍結』です。

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成年後見人の最大の使命は『本人の財産を減らさないこと(現状維持)』です。

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本人の生活費や医療費、施設入居費を捻出するために必要不可欠な場合を除き、親族が希望しても不動産の売却や有効活用、生前贈与などは家庭裁判所の許可が下りず、事実上不可能になります。

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ここで、私が常々提唱している『 1物件 6価(1つの不動産が持つ6つの価値)』の概念が重要になります。

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不動産には、実勢価格、公示地価、路線価、固定資産税評価額など、見方によって様々な価格(価値)が存在します。

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私たち専門家は、この価値のギャップを合法的に活用し、最適な相続税対策や資産の組み換えをご提案します。

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しかし、成年後見人は不動産のプロではありません。

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彼らは相続税対策のためのマンション購入や、価値が下落する前に売却して優良資産に買い替えるといった『攻めの資産防衛』を一切行いません。

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結果として、価値を生み出さない空き家が放置され、毎年の固定資産税と後見人への報酬(月額数万円)だけが本人の口座から自動的に引き落とされ続けるという、資産の『垂れ流し状態』に陥るのです。

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最高裁判所事務総局家庭局 資料より

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3. バブル崩壊リスクと売却機会の喪失

さらに深刻なのが、現在のマクロ経済と不動産市場の動向です。

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私は現在の日本の不動産価格の高騰、特に都市部の異常な価格上昇に対して、強い警戒感を持っています。

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局地的な価格の急騰は、1990年代の日本のバブル経済期と酷似した不気味さを漂わせています。

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もし歴史が繰り返され、不動産バブルが弾けた場合、資産価値は一気に暴落します。

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もし、ご自身の親族の不動産が『首長申し立て』によって成年後見制度の管理下に置かれていたらどうなるでしょうか?

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『今は不動産価格がピークだから、今のうちに売却して現金を確保し、暴落リスクに備えよう』と親族が正しい判断を下したとしても、成年後見人と家庭裁判所は『本人の当面の生活費は年金と預貯金で足りているため、不動産を売却する合理的な理由がない』として却下します。

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そして数年後、もしバブルが崩壊し、いざ相続が発生した時には、価値が激減した不動産だけが残されるのです。

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市場の動向を見極め、最も有利なタイミングで資産を動かすという鉄則が、成年後見制度という強固なルールの中で完全に封じられてしまう。

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これこそが、私が危惧する最大の『闇』です。

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4. 共有名義の不動産が引き起こす『連鎖的な地獄』

もう一つ、私へのご相談で非常に多い『不動産の共有名義リスク』と、この成年後見制度が結びついた時の悲劇についても触れておかなければなりません。

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例えば、兄弟で実家を共有名義で相続していたとします。

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その後、兄弟の一人が遠方で孤立し、認知症を発症して『首長申し立て』により成年後見人がついたとしましょう。

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共有名義の不動産は、共有者全員の同意がなければ売却も、大規模な修繕も、建て替えもできません。

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もう一人の兄弟が『実家が老朽化して危険だから売却したい』と考えても、成年後見人が『本人(認知症の兄弟)の居住用財産でもなく、売却の必要性がない』と判断すれば、売却は不可能となります。

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結果として、実家は特定空き家として自治体から勧告を受けるリスクに晒されながら、ただ朽ち果てていくのを待つしかなくなります。

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良かれと思って共有名義にした不動産が、自治体の介入(首長申し立て)を引き金にして、親族全体の資産を道連れにする『負動産や腐動産』へと変貌するのです。

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最高裁判所事務総局家庭局 資料より

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5. 自治体の介入を防ぐため防衛策

記事にある『自治体の一方的な判断』という言葉には、親族側の無念さが滲み出ています。

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しかし、冷酷な言い方をしてしまえば、親が判断能力を失い、生活が破綻するまで具体的な対策を講じてこなかった(あるいは疎遠にして放置していた)親族側にも、一定の責任があると言わざるを得ません。

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自治体も決して悪意で申し立てをしているわけではないのです。

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法律に基づき、孤立した高齢者の命と生活を守るための最後の手段として、良かれと思い介入しているのです。

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では、この恐ろしい事態を回避し、大切な一族の資産を守るためにはどうすればよいのでしょうか。

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答えは一つしかありません。

『親が元気で、判断能力が確かなうちに、家族で話し合い、法的な対策を完了させておくこと』です。

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具体的には、以下の2つの手法が極めて有効です。

  • 家族信託(民事信託)の組成: 親が元気なうちに、不動産や預貯金の管理・処分権限を、信頼できる子供や親族に託す契約を結びます。これにより、親が認知症になっても、成年後見制度を利用することなく、託された家族の判断で不動産の売却や修繕、組み換えが可能になります。1990年代のバブル崩壊のような市場の急変時にも、即座に対応できます。

  • 任意後見契約の締結: 将来、判断能力が低下した時に備えて、あらかじめ自分が信頼できる人物(家族や専門家)を後見人として指名しておく制度です。自治体や家庭裁判所に見ず知らずの専門家を押し付けられる事態を防ぐことができます。

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最後に

『首長申し立て 1万件突破』というニュースは、決して対岸の火事ではありません。

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超高齢化社会を迎えた日本において、いつあなたの身内が、あるいはあなた自身がその当事者になってもおかしくないのです。

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不動産は、ただ所有しているだけでは価値を生み出しません。

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正しい知識と戦略に基づき、適切なタイミングで運用・処分してこそ、初めて『 1物6価』の真価を発揮し、家族の豊かな未来を築く礎となります。

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手遅れになってから家庭裁判所の前で途方に暮れることのないよう、どうか今すぐ、ご家族の資産と将来について話し合う場を設けて頂ければと切に願います。

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