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2024/08/10
遺骨が土に埋まっていなければ墓地ではない?
お盆です。お墓について考えてみませんか?
今年は南海トラフ巨大地震に対する備えや警戒をしながら、
久しぶりに家族が集まるお盆に、
ご先祖様(お墓)について話し合いませんか。
墓地埋葬法
お墓について、キチンと法律に定めがあります。昭和23年に制定されました【墓地・埋葬等に関する法律】、通称【墓地埋葬法】です。
第一条には 「墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他、公共の福祉の見地から支障なく行われること」 と記載されています。
霊園・墓地には管理者を置くことが義務づけられています。
管理者には、「埋葬の求めを受けたときは正当な理由が無ければ拒んではならない」
「市町村長が交付した埋葬許可証等を受理した後でなければ、埋葬又は焼骨の埋蔵をさせてはならない」
などの決まりがあります。
遺骨の埋葬にも決まりがあります
【墓地埋葬法】には、遺骨の埋葬について 「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない」 とあります。
つまり、樹木葬と称して遺骨を自宅の庭に埋めたりしてはダメなのです。
樹木葬を希望される場合は行政の許可を得た墓地であるかの確認が必要です。
【散骨】の希望者も増えていますが・・・
海に散骨を希望される場合は注意が必要です。
行政よっては条例を定めて規制しているところも増えています。
しかし、法律や条令も無い場所が多く、散骨業者と地域住民とのトラブル事例もあり、確認が必要です。
国立公園内で散骨
島根県隠岐郡海士町の無人島【カズラ島】
我が国初の島全体が散骨所として指定されています。
大様隠岐国立公園の『第一種特別地域』に指定されており、一切の建築物、構築物が認められない地域であり、将来にわたって人の手の入らない自然を残した無人島としての存在が約束されています。
対岸には、献花・献酒・献水などのお別れの儀や命日の法要などが執り行える慰霊施設も整備されています。
『木の香り漂うステージで自然に抱かれながら亡き人への想いを深め、心ゆくまで魂を鎮めることが出来ます。』(自然散骨カズラ島HPより)
遺骨が土に埋まっていなければ墓地ではない?
最近、管理の手軽さ等もあり人気の【樹木葬】などの【自然葬】。
墓地で無い土地に勝手に散骨されたら、近隣住民は困ってしまいます。
しかし、厚生労働省は一般論として
『遺骨が土に埋まっていなければ墓地ではない』
という見解とのことです。
そんなニュース 👇 をご覧下さい。
なぜ山にむき出しの遺骨が?許可のない「自然葬」に住民が憤り “森のお墓”の実態に迫る | CBC MAGAZINE(CBCマガジン) (hicbc.com)
お墓の引っ越し【改葬】
墓地、埋葬等に関する法律に依りますと【改葬】とは『埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。』と定められています。
少子高齢化に伴い、墓守を誰が担うのかで纏まらず、墓仕舞いをするケースも増えています。
一方、便利な場所へお墓を移すことで墓守がし易くなる、という判断も増えているようです。
厚生労働省 衛生行政報告(改葬)
1997年度 69,862件
👇
2021年度 118,975件
約1.7倍に増加
改葬を行う際には市町村長に申請書の提出が義務付けられています。
申請に必要な事項
①死亡者の本籍、住所、氏名及び性別(死産の場合は、父母の本籍、住所及び氏名)
②死亡年月日(死産の場合は、分べん年月日)
③埋葬又は火葬の場所四 埋葬又は火葬の年月日
⑤改葬の理由
⑥改葬の場所
⑦申請者の住所、氏名、死亡者との続柄及び墓地使用者又は焼骨収蔵委託者(以下「墓地使用者等」という。)との関係
申請書には添付書類も必要
①墓地又は納骨堂(以下「墓地等」という。)の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面
②墓地使用者等以外の者にあつては、墓地使用者等の改葬についての承諾書又はこれに対抗することができる裁判の謄本
③その他市町村長が特に必要と認める書類
祭祀の承継
民法には祭祀(神や祖先をまつること)のための財産、【系譜(家系図)、祭具(仏壇仏具、位牌、神棚など)、墳墓(敷地としての墓地を含む)】 を次の順序で承継させると定めています。
民法897条(祭祀に関する権利の承継)
1.系譜、祭具及び墳墓の所有権は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。
ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2.前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
つまり、お墓などを引き継ぐ者は1人で、慣習によって決まります。
慣習も無く、相続人の指定(遺言等)も無ければ 「家庭裁判所が定める」 ということです。
祭祀財産の承継者はどのように指定するのでしょうか、民法に決まりはありません。
口頭でも、親族に伝わり、全員が納得するのであれば構いません。
ただ、一般的に祭祀財産の承継は相続発生時に行われることを考えると、遺言により祭祀承継者を指定するのが良いのではないでしょうか。
コロナ禍が収束したら、お墓の話題で相続について話し合ってみませんか?
争続対策にもなり、先祖供養にもなること間違いなし、だと思います。