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2021/02/22
カバン屋さんの相続争い
京都の人気カバン屋さん
【一澤帆布】
この会社の相続から遺言の重要性と人間関係を学びましょう!
三代目社長が死去すと・・・
2001年 3月 三代目社長 信夫氏 死去
すると 遺言書が出てきました
1997年 12月 12日付
下記の内容で相続させる!
長男 銀行預金
三男 自社株の3分の2
三男夫婦は持ち株とで7割超所有
四男 自社株の3分の1
(次男は既に他界していました)
ところが・・・
第2の遺言書が出てきました
遺言書開封4ヵ月後の 2001年 7月
第2の遺言書を長男 信太郎が提示
作成日は最初の遺言書より新しい
2000年3月9日付
遺言内容は信夫 氏 保有の財産から
下記の内容で相談させる!
長男 自社株の80%
四男 自社株の20%
民法1023条
複数の遺言書が存在する場合
重複する内容については
最も日付の新しい遺言書が有効
三男 信三郎 氏が第2の遺言書は無効と提訴
兄弟は家族のみならず
従業員や京都の政財界をも巻き込み
最高裁まで争いました
和紙の巻紙に毛筆と実印
第1の遺言書は
和紙の巻紙に毛筆で書かれており
さらに 実印が捺印されていました
長男信三郎 氏が提示した第2の遺言書は
便せんにボールペンで書かれており
印鑑は【一澤】ではなく【一沢】でした
法律上 、紙やペンの種類は
問いませんが・・・
三男 信太郎 氏は最高裁で敗れます
『無効と言える十分な証拠が無い』
との判決で株式は長男のものに
議決権の過半数を握った長男は
代表取締役に就任
信太郎と職人が
ハサミを持ったこともない
元銀行員の新社長に従業員(職人)は反旗を覆し
三男の信太郎 氏と新会社を設立
元の会社は取引先からもソッポを向かれ
経営は成り立ちません
信三郎 氏の妻が提訴し逆転勝訴
2006年 3月 三男 信三郎 氏の妻が
遺言無効確認訴訟を提起
一審では敗訴するも高裁で逆転勝訴
2009年 6月 最高裁は高裁判決を支持
第2の遺言には不自然な点があり【無効】
2011年 4月 元の一澤帆布工業の店舗にて
【一澤信三郎帆布】として営業再開しました
公正証書遺言なら
第1の遺言書が公正証書遺言なら
ここまで揉めなかったのでは
との 意見を よく目にします
民法 1023条に書かれているように
公正証書遺言よりも新しい日付の
自筆証書遺言が出てくると
いくら公正証書遺言であっても
無効となってしまいます
つまり 性悪説で考えると
どんな手段(遺言公正証書)でも
揉めない為の最終手段には成り得ません
都合の悪い遺言書を破り捨てる人も
都合の良い遺言書を偽造する人も
相続の現場では 日常的に繰り返されています
揉めない完璧な方法は存在しません
出来るだけ 揉めない
そんな準備を一緒に考えましょう