NEWS
ニュース- ブログ
- 【相続税対策にメス】財源確保の動き本格化?
2025/11/14
【相続税対策にメス】財源確保の動き本格化?
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
相続対策に関心のある皆様にとって、見過ごせないニュースが日経電子版にて報じられました。
11月13日に開催された政府の税制調査会(首相の諮問機関)にて、不動産を活用した相続税の節税策について、新たな規制を検討する議論が開始されたことが明らかになりました。
これは、単なる個別の税制改正に留まらず、今後の日本の財政状況とも密接に関連する、大きな流れの始まりかもしれません。
本日は、このニュースの背景と、私たち出島不動産相続相談所が考える『今、皆様がすべきこと』について解説します。
1.なぜ今、新たな議論が始まったのか?
不動産を使った相続対策は、現金で相続するよりも税負担を軽減できる可能性があるため、多くの方が活用されてきました。
その理由は、相続税の計算方法にあります。
相続税は原則として『時価』で評価されますが、不動産の場合は時価の算定が難しいため、国税庁が定める『路線価』などを基準に評価額が算出されます。
特に地価が上昇している都心部などでは、この『評価額』が『実勢価格(実際に売買される価格)』よりも低くなる傾向があります。
この評価額と実勢価格の『乖離(かいり)』を利用することが、節税の基本的な仕組みでした。
しかし、この『乖離』が あまりにも大きいケースについて、国税庁は問題視を続けています。
2.『タワマン節税』に続く、新たな規制の兆候
記憶に新しいのが、いわゆる『タワマン節税』への対策です。
高層階ほど実勢価格が高いにもかかわらず、固定資産税評価額は階層にかかわらず一定だったため、大きな節税効果が生まれました。
これに対し、国税庁は 2024年から新たな評価ルールを適用。実勢価格の6割程度に評価額を引き上げる仕組みを導入し、過度な節税を事実上、封じ込めました。
そして今回、国税庁が『タワマン節税』の次に問題視しているのが、大きく分けて以下の2つのケースです。
① 賃貸マンションの一棟購入
記事で紹介された事例は衝撃的です。
2019年に東京都千代田区の11階建て賃貸マンション1棟を21億円で購入したケースで、2022年の相続時、その評価額はわずか4.2億円だったと報告されています。
実勢価格と評価額の間に、約 17億円もの『乖離』が生じています。
国税庁は、こうした極端なケースを『節税効果が大きすぎる』と指摘しています。
② 不動産の小口化商品
もう一つが、信託などの仕組みを使い、オフィスビルや賃貸マンションの持ち分を細かく分けて共同所有する『小口化商品』です。
これらも金融機関や不動産会社が『相続対策』として販売しているケースが多く、一棟購入と同様の仕組みで評価額を圧縮できるため、富裕層を中心に活用されてきました。
3.『責任積極財政』と増税の可能性
今回の税制調査会の動きを、単なる「個別の税制見直し」と捉えるべきではありません。
私たちは、より大きな政治的・経済的な背景があると考えています。
高市新政府は『責任積極財政』を掲げています。
これは、経済成長のために大規模な財政出動(政府支出)を行うことを示唆しています。
大規模な支出を行えば、当然ながら『財源』が必要となります。
もし経済成長が想定通りに進まず、税収が伸び悩んだ場合、深刻な『財源不足』に陥る可能性は否定できません。
その時、政府が新たな財源をどこに求めるか。
その一つとして、『増税』、特に『資産課税』がターゲットになる可能性は十分に考えられます。
資産課税とは、まさに相続税や固定資産税など、皆様が保有する資産に対して課される税金のことです。
つまり、今回の「節税封じ」の議論は、
「公平性の確保」という名目だけでなく、「将来的な財源確保」という政府の強い意思の表れかもしれません。。
4. 出島不動産相続相談所の見解
『責任積極財政』という大きな方針のもと、財源確保の必要性が高まれば、今回の議論は単なる『議論』では終わりません。
『タワマン節税』の時と同様に、近い将来、新たな規制やルール変更として具体化する可能性が極めて高いと我々は見ています。
このニュースから読み取るべき、最も重要なメッセージは、
『実勢価格と評価額の『乖離』だけを狙った、過度な節税策は、今後さらに厳しく監視・規制される』
という政府の明確な意思表示です。
『ルールが変更される前に、急いで対策をしよう』と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、財源確保が急務となれば、税務署の調査もより厳しくなることが予想されます。
過去の判例では、たとえ当時のルール上は問題なくとも、その節税行為が『著しく不適当』と判断された場合、税務署に否認される(=追徴課税となる)リスクもゼロではありません。
5. 『適正な』相続対策の見直しを
不動産は、相続において非常に重要かつ、大きなウェイトを占める資産であることに変わりはありません。
しかし、その活用方法は『節税』一辺倒ではなく、ご家族が円満に資産を引き継ぐ『円満相続』と、納税資金を確保する『資産の組み換え』という視点が、これまで以上に重要になっています。
『財源不足』や『増税』という大きな流れの中で、小手先の節税策は通用しなくなる時代がすぐそこまで来ています。
• 現在、一棟マンションや不動産小口化商品での対策を検討している方
• すでに同様の対策を実行済みで、今後の影響が不安な方
• ご自身の相続対策が、最新の税制・政治動向に適合しているか確認したい方
ぜひ一度、出島不動産相続相談所までご相談ください。


