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- リチウム不足で記憶力低下!?
2025/08/21
リチウム不足で記憶力低下!?
【相続】と聞くと、多くの方がご自身の資産をどう引き継ぐか、という点にまず注目されるかもしれません。
しかし、超高齢社会である現代日本の相続対策は、単なる資産承継の問題だけでは終わりません。
ご家族、特にご両親の『健康』という要素、とりわけ『認知症』への備えが、不動産という大切な資産を守る上で極めて重要になっています。
今回は、未来を見据え、認知症と不動産相続の問題にどう向き合うべきか、本日発表の最新の医学情報にも触れながら考えていきたいと思います。
なぜ『認知症になる前』が重要なのか
ご存知の通り、日本は世界でもトップクラスの長寿国ですが、それに伴い認知症患者数も増加の一途をたどっています。
もし、不動産の所有者である親が認知症と診断された場合、どのようなことが起こるのでしょうか。
最も大きな問題は、『意思能力がない』と判断され、法律行為ができなくなることです。
具体的には、
* 不動産の売却ができない
* 賃貸物件の契約更新や管理ができない
* 大規模なリフォームの契約ができない
* 相続対策としての生前贈与ができない
といった事態に陥ります。
ご家族が『親の介護費用を捻出するために、空き家になった実家を売りたい』と考えても、所有者本人の意思確認ができないため、法的に売却手続きを進めることができなくなってしまうのです。
この状態を解消するためには、『成年後見制度』を利用することになりますが、手続きには時間と費用がかかり、家庭裁判所が選んだ後見人が資産を管理するため、ご家族の希望通りに柔軟な資産活用ができないケースも少なくありません。
だからこそ、ご本人の判断能力がはっきりしている『認知症になる前』に、先手を打って対策を講じることが何よりも大切なのです。
今からできる2つの有効な対策
では、具体的にどのような対策があるのでしょうか。
代表的なものが『任意後見契約』と『家族信託』です。
※任意後見契約
将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめご自身で【後見人(任意後見人)】を選び、財産管理や身上監護に関する事務の内容を公正証書で契約しておく制度です。
ご自身の意思で信頼できる人を選べるという安心感があります。
※ 家族信託(民事信託)
信頼できる家族(例えば子)に、不動産などの資産の管理・処分を託す契約です。
あらかじめ 『親の介護費用に充てるために不動産を売却できる』といった内容を契約に盛り込んでおくことで、万が一親が認知症になっても、託された家族が契約内容に従ってスムーズに不動産を売却できます。
成年後見制度よりも柔軟で、ご家族の意思を反映させやすいのが特徴です。
どちらの制度がご家族にとって最適かは、資産状況やご家族の関係性によって異なります。専門家と相談しながら、最適な形を見つけることが重要です。
医学の進歩に希望を託しつつ、今を生きる準備を
ここまで、認知症になった場合の法的なリスクと対策についてお話してきました。暗い話に聞こえたかもしれませんが、未来に希望がないわけではありません。
最近、非常に興味深い研究成果が発表されました。
2025年8月20日の報道によると、米ハーバード大学などの研究チームが、金属の一種である『リチウム』にアルツハイマー病の進行を抑制する効果があることをマウス実験で突き止めたというのです。
研究によれば、アルツハイマー病患者の脳ではリチウムが不足しており、病気の原因とされるタンパク質『アミロイドベータ』が溜まった部分にリチウムが取り込まれてしまうとのこと。
特に『オロチン酸リチウム』という形のものが、低濃度でも高い効果を示したそうです。
もちろん、これがすぐに人間への治療法として確立されるわけではなく、今後の安全性や効果の検証が必要です。
しかし、こうした医学の目覚ましい進歩は、私たちに大きな希望を与えてくれます。
いつの日か、認知症が『治る病気』『予防できる病気』になるかもしれません。
ただ、その未来を待つ間にも、時間は刻一刻と過ぎていきます。
私たちは、医学の進歩に期待し、最新の情報に関心を持ち続けると同時に、今ある現実のリスクに対して着実に備えを進めていく、という両面からの備えが必要です。
元気なうちに、家族で話そう
相続対策、特に認知症への備えは、決してネガティブなものではありません。
ご家族がこれからも安心して、自分たちらしい生活を送るための、未来への大切な準備です。
一番のスタートは、ご両親が元気なうちに、ご家族みんなで将来のことをオープンに話し合うことです。
『もしも』の話を切り出すのは勇気がいるかもしれませんが、この記事がそのきっかけになれば幸いです。