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2022/08/05
相続土地国庫帰属制度 令和5年4月27日スタート
所有者不明土地の面積が九州の面積を超え、北海道の面積に迫っています。
相続した土地を相続人が所有者変更登記(相続登記)を行わないまま、子から孫、孫からひ孫、ひ孫から玄孫、玄孫から来孫、来孫から昆孫・・・。
30年超相続登記未了の土地は法務局が法定相続人を調べて個別に通知します。
一人の相続から未登記のまま相続を繰り返し十人超の相続人に膨れ上がっていることはよく見受けます。
相続を希望しない土地を国庫に帰属
田舎の1,000坪より都会の10坪、といわれるように過疎化が進む地域の土地は敬遠され、相続したくない、という声も年々大きくなってきています。
昔は持っていれば資産になる【不動産】
その後、地方の不動産は【負動産】と呼ばれるようになりました。
今では『何とかして相続したくない!』という ご相談が増え、そうした土地を【腐動産】と呼ばれるようになってきました。
平成30年度版土地白書によると
土地所有に対する負担感を感じたことがある、又は感じる・・・約42%
令和2年法務省調査によると
土地を所有する世帯のうち、土地を国庫に帰属させる制度の利用を希望する世帯・・・約20%
相続した土地を国庫に帰属させたいと考えている世帯が既に約20%となっています。
今後、相続土地国庫帰属制が周知されることで、利用を検討する方は増えていくと実感しています。
現行制度でも相続人全員が相続放棄 (全ての財産を放棄) をすれば相続財産は『国庫に帰属』します。
しかし、新制度は
『相続土地国庫帰属制度は、所有者不明土地の発生を抑制する目的で、本来所有者が管理すべき土地を国に引き受けさせて、国民の負担、全国民の負担で土地を管理すること。---要件を満たす土地であれば国は必ず国庫帰属を認められなければいけない。国が引き受けなければならないという意味ではこれ迄に類例の無い制度です。』(法務省民事局長 2021.3.24)
価値のある財産は相続し、不要な土地のみを手放し、国庫に帰属させることが出来る画期的な制度なのです。
境界紛争の中の土地などはダメ
法務書のホームページには却下される事由が記載されています。
A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
その他、勾配のある土地なども不承認とのことです。
今後、基準が示されることになると思われます。
土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けた方が、一定の負担金を国に納付した時点で、土地の所有権が国庫に帰属します。
審査手数料とは別に標準的な土地管理費用相当の10年分の負担金を支払います。
原野(面積に拘わらず)20万円
宅地200㎡で 80万円
相続税は課されるのでしょうか?
相続税の申告期限までに国へ寄付した場合は【非課税】です。
相続税の物納は【相続税課税対象】です。
物納でもなく、寄付でもない国庫帰属、国税庁の判断はこれから示されます。