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2021/12/11
2022年度税制改正、相続税・贈与税の一体化見送り
2022年度、与党の税制改正大綱が発表されました。
会計検査院が2018年から指摘し続けてきた【住宅ローン減税の逆ざや】(住宅ローンの支払利息よりも税金の還付額が上回る状況)を解消するため、控除率を 1% ⇒ 0.7%に引き下げました。
【相続税・贈与税の一体化】については見送られました。
資産家には毎年【財産債務調書】の提出を義務付けます。
国は将来の相続税申告書の大枠を事前に把握することになりそうです。
住宅ローン減税改正、新築優遇変わらず
会計検査院が『逆ざや』と指摘し、マスコミをも取り込み、2年越しで実現した住宅ローン減税の改正。
今回も新築優遇に変わりありませんでした。
欧米と比べて圧倒的に中古住宅の取引きが少ない現状に、税制も変化を求めないようです。
『住宅の省エネ性能の向上及び長期優良住宅の取得の促進と共に、既存の住宅ストックの有効活用及び有料化を図ることが重要・・・』との考えのもと、省エネ住宅に対する優遇に重きを置いた改正となりました。
控除率を年末借入残高の1.0%から0.7%に引き下げます。
新築住宅の控除期間は原則10年を13年に延長し、控除額の減少を抑えます。一方の中古住宅は控除期間原則10年を据え置きました。実質の減税縮小です。
所得要件、3,000万円以下 ⇒ 2,000万円以下に引き下げられました。
住宅取得資金贈与は2年間延長
直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の適用期限(2021年12月31日)を2年間延長し、2023年12月31日までとします。
※建物の築年数要件(非耐火 築20年以内・耐火 築25年以内)を撤廃 ⇒ 新耐震基準適合住宅であること。
※非課税限度額は1,500万円 ⇒ 1,000万円に縮小します。
※省エネ、耐震、バリアフリー住宅は1,000万円、それ以外の物件は一律500万円が非課税限度額となります。
※貰う人の年齢要件を【20歳以上】から【18歳以上】に引き下げ。(令和4年4月1日以後の贈与)
相続税と贈与税の一体課税は見送り
こちらも、マスコミを取り込み法改正は既定路線とみられていた2022年度税制改正の注目の的であった【相続税と贈与税の一体課税】について、新聞や雑誌では「暦年贈与をするなら今年と来年の2回がラストチャンス」と騒いでいましたが、2023年度税制改正以降に持ち越しとなります。
『相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度の在り方を見直すなど、本格的な検討を進める。』
『贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何ら税負担を求めない制度であることから・・・・・不断の見直しを行っていく。』
ということで、今後の見直しはありそうですが、今年と来年、再来年の3回は暦年贈与を利用できそうです。
所得ゼロでも財産債務調書提出義務化
① 所得2,000万円超
② 総資産3億円以上または有価証券等だけで1億円以上
現状では、その年の12月31日において ① と ② に該当すると、確定申告時に【財産債務調書】の提出が義務付けられています。
2022年度税制改正では所得基準が撤廃され、総資産10億円以上なら所得ゼロでも【財産債務調書】の提出義務化です。(令和5年度分以後に適用)
資産家をターゲットとした詳細な財産明細の提出を義務化することで、将来の資産の譲渡税や相続税の貴重な情報として補足します。
有価証券等については取得価格の記載も必要となり、将来の譲渡税徴収に活かされるのでしょう。
土地については ① 用途 ② 所在地別の地所数 ③ 面積 ④価格 の記載が必要です。
価格は【時価】または【見積価格】で、土地建物は固定資産税評価額で良いとのことです。
丁寧に調書の記載例も用意されていて、ストックオプションや暗号資産、保険の権利や信託の説明が記されています。