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2021/02/10
相続登記の義務化を答申、相続放棄の制度化も
法務大臣の諮問機関【法制審議会】は2月10日、相続や住所氏名を変更した際に土地の登記を義務づける法律の改正案を答申しました。
3年以内の相続登記を義務化
改正案では『土地の取得を知ってから3年以内』の登記申請を義務化。
違反すると10万円以下の過料(罰金)も。
遺産分割が10年間未了の場合、法定相続割合で分割。
行政が住基ネットを活用し死亡情報を登記します。
相続人申告登記(仮称)制度を新設
現状の相続登記手続きは被相続人の生まれてから お亡くなりになるまでの戸籍が必要です。
誰が相続人なのかを特定する為には戸籍での確認が必須となります。
結婚や転居等で本籍地を移動していたり、戸籍法の大きな改正が2度あり、改正前の戸籍取得も必要となるなど、時間とお金と労力が必要となります。
今回の答申では相続登記の負担軽減が盛込まれました。
仮称「相続人申告登記」制度を新設するとのことです。
法定相続人が自分の戸籍謄本と住民票を法務局に提出するだけで相続登記が出来るようにします。
トラブルの匂いがするのは私だけでしょうか。
詳細を確認出来次第、お伝えできればと思います。
土地を放棄出来る制度を創設
過料を伴う厳しい登記制度の創設する一方で、不要となった土地を放棄できる制度【相続土地国庫帰属法(案)】を創設します。
土地を放棄する条件として
① 建物が存在しない
② 土壌汚染がない
③ 担保が設定されていない
④ 土地の管理負担金と審査手数料の納付
現在、国有地の標準的な管理費は、粗放的な管理ですむ原野なら 20万円、200㎡の宅地で80万円程度が目安とのことです。
住所変更時にも登記義務
結婚などにより氏名が変わったり、住所が変わった際の変更登記も義務化されます。
変更があったときから2年以内に申請しなければ5万円以下の過料(罰金)です。
土地の所有者が海外に居住している場合、日本国内の連絡先を登記に記載する規定も設けます。
施行後の相続等に適用
新たなルールは法律の施行後に適用される見通しです。
つまり、過去に遡ることは無いようです。
現在、遺産分割協議中の方々が不要な土地の相続放棄をすることは出来ないようです。
不要な土地の放棄が急増か
いまでも沢山のご相談の3割程度は『不要な不動産を放棄出来ないか』、というお悩みです。
現状の放棄のルールでは、全ての財産放棄が必要となり、必要な財産があると放棄することは現実的ではありません。
更に、生活保護受給者と同等の生活費基準を儲けられており、不要な土地のみを放棄できる制度が実現すれば、多くの方々が活用することになりそうです。
これからの遺言書作成には、不要な土地の相続放棄を記すケースが増えそうです。
そして、誰が手続きを行うのか、管理費負担金を誰が負担するのか。
被相続人の「残される人に負担を掛けずに済む」という安心と、相続人同士が揉めない為の準備と、法改正されることを前提に準備したいと思います。