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2020/09/14

レオパレス施工不備訴訟「界壁なし」でもオーナーの賠償請求棄却

 

レオパレス 21 の施工不備問題を巡り、岐阜市のアパート所有者が同社に補修費など約 2,000万円の損害賠償を求めた裁判で、岐阜地方裁判所は 2020年 8月 26日、原告側の訴えを棄却する判決を下しました。

 

問題となった共同住宅は提訴時点で築 20年を超えていたことから、判決は原告には「請求権がない」としました。

原告は控訴する方針です。

 

 

 

所有者は一級建築士に依頼して18年3月から3回、建物を調査した。結果、小屋裏には界壁がないことが判明した(写真:LPオーナー会)

岐阜市内にあるレオパレス21の木造アパートの小屋裏。

 

 

 

原告の所有者は 1994年にレオパレス21 と建築工事請負契約を締結、翌 95年に 2棟の 2階建てアパートの引き渡しを受けました。

2018年3月、原告側が実施した調査により、この 2棟は当初から小屋裏へ界壁が施工されていなかったことが発覚。

この調査が同社による一連の施工不備問題が明るみに出るきっかけになりました。

 

原告側が提訴に踏み切ったのは 2018年 8月。

2棟は築 23年に達していました。

 

 

 

 

 

 

20年経過で損害賠償請求権は消滅?

裁判で争点となったのが、引き渡しから 20年以上が経過しても、所有者は設計者や施工者へ法的な責任追及が可能なのか、ということです。

 

判決によると、被告のレオパレス21 は裁判で、物件の小屋裏などの施工状況については「原告の指摘の通り」だと認めています。

一方、2棟は提訴時点で引き渡しから 20年を超えており、契約上の瑕疵(かし)担保責任期間(最長 10年間)、不法行為責任の除斥期間(最長 20年間)が経過しているので、「原告側の損害賠償請求権は消滅している」と反論。

 

 

 

所有者が訴えを起こした岐阜市のアパート外観。1995年に完成した。

木造枠組み壁構法2階建ての建物で、居室は10室。所有者は界壁の補修に約1800万円の費用がかかると試算。

 

 

 

責任期間の起算点をどこに置くかについて、原告側は「施工不良は不当に隠蔽されていた。18年の調査で事態が発覚した時点とすべきだ」と主張しました。

炭鉱労働者のじん肺被害を巡る判例(筑豊じん肺訴訟、最高裁判所04年4月27日判決)が示した、不法行為責任の起算点を巡る考え方をベースにしたものです。

 

一方のレオパレス21側は、これまで数多く争われてきた一般的な建築訴訟と同様、起算点は「建物の引き渡し時点」だと主張しました。

 

 

 

法違反の判断には踏み込まず

岐阜地裁は原告の主張について、根拠とした判例は「蓄積進行性または遅発性の健康被害に関わる損害」を扱ったもので、建物の施工不備は事件の性質や類型が異なるので、その類型に該当しないのは明白だと指摘。「建物の引き渡し日を除斥期間の起算点と解すべきだ。不法行為責任が仮に生じていたとしても、その損害賠償請求権は除斥期間の経過により消滅した」との判断を示しました。

 

背景にあったのはレオパレス21 が全国で進めている施工不備物件の改修作業だ。

判決は判断理由について、「被告が界壁の不備を積極的に隠蔽したことはなく、自ら建築基準法違反の可能性を認めて本件訴訟の行く末を問わず補修する方針を示している。損害賠償請求権について除斥期間の適用を制限すべき特段の事情はない」と説明。

判決はこうして、責任を問えるかのみを判断し、2棟における瑕疵の有無、不法行為責任の成否などの争点については事実認定や判断をしなかった。

 

同社は 2020年 8月 26日の判決言い渡し後、報道機関へ「当社の主張が裁判所へ認められた結果であると認識しております」とのコメントを出した。

 

 

判決文の一部(写真:日経アーキテクチュア)

 

 

 

なお、判決理由の 1つにもなったレオパレス21 による改修作業は、完了が全く見通せない状況が続いています。

同社は 2020年 8月 28日付の資料で、改修をペースダウンさせたことを明らかにした。「業績や財務面で厳しい状況が続いている」「希望退職を含む人的・物的資源の再配置を実施しており、施工不備対応に関わる施工規模・体制もいったん縮小している」といいます。

 

2020年 7月末時点の公表資料によると、全棟調査で明らかな施工不備が判明した 1万 3,622棟のうち、2020年 7月末時点で改修に着手できたのは 5割強の 7,319棟。

うち完了済みは 1,045棟にとどまることも公表しています。

 

 

2020/09/09   日経クロステック

 

 

 

 

 

 

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