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2020/08/17
マンション区分所有者の管理責任
神奈川県逗⼦市で2⽉5⽇午前7時58分、市道に⾯するマンション「ライオンズグローベル逗子の丘」敷地内の斜⾯が崩落し、歩いていた県⽴⾼校3年⽣の⼥⼦⽣徒(当時 18歳)が⼟砂に巻き込まれ死亡しました。
この事故で、遺族がマンション管理会社の代表を業務上過失致死の疑いで神奈川県警逗⼦署に刑事告訴しました。
マンションの区分所有者の住⺠らも過失致死の疑いで告訴し、いずれも受理されました。
所有権と所有者責任
逗⼦署や逗⼦市によると、マンションの下部にある⾼さ約15メートルの斜⾯のうち、⾼さ約7メートル以上の部分の⼟砂(推計約 68トン)が崩れました。
崩れた部分はマンションの敷地の一部で、マンション管理組合が管理しています。
斜面は⽯積みで補強されていませんでした。
前⽇に数メートルのひび割れ
捜査関係者によると事故前⽇、マンションの管理⼈が斜⾯に数メートルのひび割れがあるのを発⾒し、管理会社に伝えていました。
遺族側は、「管理会社は適切な措置を講じなかった責任があり、住⺠らも安全管理を怠った。」としています。
神奈川県は 2011年にこの斜⾯⼀帯を⼟砂災害警戒区域に指定していました。
事故後、国⼟交通省国⼟技術政策総合研究所は「⾵化を主因とした崩落」と指摘している。
関係者によると、遺族は区分所有者に対し、内容証明郵便( 25⽇付)で総額 1億 1,800万円(⼀⼾当たり310万円)の損害賠償を求めています。
2020/06/28 毎⽇新聞より一部抜粋
2011年に⼟砂災害警戒区域に指定
神奈川県は、この斜⾯を「急傾斜地の崩壊」の恐れがあるとして、2011年に⼟砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定しています。
イエローゾーンとは「⼟砂災害が発⽣した場合、住⺠等の⽣命・⾝体に危害が⽣ずるおそれのあると認められた⼟地の区域」を指し、市町村は警戒避難体制の整備を義務付けられています。
逗⼦市都市整備課によると、「地権者らに危険性を知らせるなどの対応を取ってきたが、⺠有地のため、斜⾯の管理に市が直接携わることはない。」ということです。
崩落斜⾯復旧に補正予算
崩れた斜⾯の復旧⼯事と斜⾯下の道路改良事業費として 2,516万円を計上する補正予算案が、2⽉2 8⽇開かれた逗子市議会本会議に提案され、全会⼀致で可決されました。
財源は財政調整基⾦を取り崩して確保。
斜⾯に残る⼟砂をかき出してモルタルを吹きつけ、斜⾯下の市道のセンターライン付近に⾼さ4メートルの仮防護柵を約50メートルにわたって設置します。
斜⾯は⺠有地ですが、市道の通⾏⽌めをできるだけ早く解除するため、逗⼦市はマンション管理組合から施⾏の承諾を取り付け、先⾏して⼯事を⾏うことにしました。
⼟地の⼯作物等の占有者及び所有者の責任
⺠法第717条 には 「⼟地の⼯作物(建物・道路・塀等)の設置または保存に瑕疵があることによって他⼈に損害を⽣じさせたときは、その⼯作物の占有者は被害者に対してその損害を賠償しなければならない。」
⼯作物に瑕疵があったなら、故意・過失でなくとも賠償責任の対象となります。
それは「無過失責任」を所有者が問われる、ということです。
「マンションは管理を買え!」と⾔います。
管理の⾏き届いたマンションは住んでいて気持ちが良く、資産価値も下がりにくいとされています。
崩落を発⾒し、管理会社に報告した管理⼈さん。
管理会社が危機感を持っていれば、斜⾯崩落を防ぐことが出来たのかもしれません。
不動産を所有する者の責任を改めて⾒直す良い機会にしなければなりません。