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2020/05/01

遺言執行者って誰?必要?

約40年ぶりに相続法が改正されて2年が経とうとしています。テレビや雑誌等の書籍でも相続を扱うケースを頻繁に目にするようになりました。

今回は相続法改正の中でも重要でありながら、然程記事にならない「遺言執行者」について確認してみましょう。

 

 

 

遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言の内容を忠実に実現するために必要な手続きなどを行う人です。

未成年者・破産者でなければ、相続人でなくとも誰でもなることが出来ます。(受遺者や遺言公正証書作成時の立会人が遺言執行者になることも可能です)

遺言書において、遺贈や特定財産の相続を指定したとしても、遺言執行者が選任されていなければ、相続人全員が協力して遺贈や相続による名義書換の手続きをしなければならなくなります。

相続人の協力が得られなかったり、相続人の一部の人と連絡が付かなかったりすると、一生懸命考えて遺言書を作成したにも拘わらず、遺言内容の実現が困難になることもあります。

 

 

 

遺言執行者は必要?

遺言作成時に遺言執行者を指定している遺言はどれくらいあるのでしょうか。

公正証書遺言であれば公証人のアドバイスで遺言執行者を指定することが多いと思いますが、自筆証書遺言では遺言執行者の指定まで及ばないのが現実ではないかと思います。

では、遺言執行者の指定は必要なことなのでしょうか。

昨年、改正相続法が施行されましたが、改正前後を比べると遺言執行者に係る規定が変更・追加等大きく変わりました。

変更前はなんとなく的な規定だったとも言えそうなもの(遺言執行者の権限の明確さに欠けるもの)でしたので、そのためかどうかは不明ですが、遺言執行者の必要性の認識が薄く、遺言執行者を指定していない遺言は多かったと思います。

 

 

 

 

 

 

また、公正証書遺言作成時に公証人からのアドバイスで遺言執行者の指定を行なっていても、受遺者である相続人が遺言執行者に指定されているということも珍しくありません。

受遺者が遺言執行者の指定を受けること自体は何の問題もありませんが、一般的にはほとんどの場合相続手続きについては素人です。

遺言執行といっても何をすれば良いのか戸惑い、簡単には実行できないのが普通です。

遺言執行者の復任権に関する遺言事項もほとんどのケースで作成されていないというのが印象です。

つまり、改正相続法施行前までの遺言作成時には遺言執行者の指定は軽視されがちだったのではないかということです。

 

しかし、改正相続法の施行後は、遺言執行者の指定の必要性が増したといえます。

例えば、改正相続法施行前の「相続させる旨の遺言」では、法定相続分を超える相続分の指定を受けていても対抗要件を備える必要性はありませんでした。(第三者に対抗できました)

改正相続法施行後は、「相続させる旨の遺言」であっても法定相続分を超える相続分の指定は、「その超えた相続分」に関して対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないという大きな変更(従前の判例の変更)がありましたが、「特定財産承継遺言」において、判例変更による(受遺者にとって)負の部分を、遺言執行者の対抗要件具備行為を可能とする新たな規定によって補完する形になりました。

また「遺贈」における遺言執行者の権限も、「遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は遺言執行者のみが行うことができる」とし、その権限は遺贈の履行に必要な行為全般に及ぶと、以前に比べて明確になりました。

 

 

 

 

 

相続人が単独で預貯金債権行使が可能に

改正相続法施行により新設された規定の中に、「このような規定ができて良かったですね」といわれることが多い「遺産の分割前における預貯金債権の行使」の規定は、相続人が単独で権利を行使することができるという点では、本当に困っている人にとっては救いとなりますが、一歩間違えば悪用されて「複雑な争い」となりかねません。

その悪用にストップをかけるための手段の一つが「遺言執行者の指定」であるといえます。

改正相続法施行後は、遺言執行者の指定は遺言内容の実現を図るという実質的な役割以外にも、遺言執行業務を行うことによる【争い・トラブル防止】という効果も併せ持つことになりますので、今まで以上に遺言執行者の指定の必要性が増したといえます。

とはいえ、受遺者である相続人を遺言執行者に指定した場合には、相続人としてやるべきことが多くあることや、当然のことながら遺言執行に係る専門知識が乏しいことなどにより、相続開始後の速やかな遺言執行が難しくなるばかりでなく、【争い・トラブル防止】の効果も薄くなってしまう可能性があります。

 

そうならないためにも、そして、遺言の効力を最大限に活用するためにも、相続の専門家を遺言執行者に指定することも選択肢に入れておくことが必要かもしれません。

 

理想の相続を実現するために作成する遺言書です。

遺言執行まで見据えた準備をして頂きたく思います。

 

 

 

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