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2020/02/19

認知症支援の神戸モデル

 

認知症の⼈が外出先などで、他⼈にケガをさせたり、物を壊したりして家族らが損害賠償を求められる事態に備え、自治体が⺠間保険を活⽤する⽀援事業が広がっています。

 

神⼾市では、被害者にお⾒舞⾦を⽀払う仕組みを加えた独⾃の事故救済制度を導⼊し、認知症診断の無料化にも取り組んでいます。

 

「神⼾モデル」と呼ばれる⽀援策を取材した記事が 2⽉18⽇付けの 読売新聞社 に掲載されていました
ので、抜粋してお伝え致します。

 

 

 

認知症 列車事故がきっかけ

「いつか事故を起こすのではないかとヒヤヒヤしている」。

神⼾市在住の松井正⼆さん(71)が⼼配するのは、認知症の妻  通⼦さん(70)のことです。

⾃宅や商業施設のトイレなどから徘徊(はいかい)して⾏⽅不明になり、⾼速道路のゲート前で保護されたり、⾞道を歩いているところを松井さんが⾒つけたりしたこともあります。

 

交差点や踏切で、松井さんは、通⼦さんが⾶び出さないようにしっかり⼿をつなぐ。⾃宅でも、ヤカンや鍋の空だきによる失⽕が⼼配です。

 

通⼦さんは、神戸市が 2019年 4⽉に導⼊した事故救済制度に加⼊しています。

認知症と診断された市⺠を対象とし、市が保険料を負担して⺠間の個⼈賠償責任保険に加⼊。

⼈⾝や物損の事故を起こし、本⼈や家族が賠償責任を負う場合に、最⼤2億円の補償が受けられます。

被害者が市⺠の場合は、保険による補償に先⽴ち、市が最⼤ 3,000万円の⾒舞⾦を⽀払います。

加害者側に賠償責任がない場合でも、被害を救済できる制度です。

 

認知症列⾞事故訴訟をきっかけに導⼊されました。

本⼈や家族の不安を軽減するのが狙いで、松井さんは「万が⼀、他⼈に迷惑をかけた場合、被害が補償されるのはありがたい」と話します。

 

 

 

 

 

 

 

 

認知症⽀援の【神⼾モデル】

2019年 5⽉、神⼾市のフランス料理店。

市内に住む認知症の男性(84)が、妻(82)や⻑⼥(56)らとディナーを囲んでいました。

退店後、男性が座っていたソファが、粗相で汚れていることに店員が気づきました。

後⽇、店側からクリーニング代の相談の電話を受けた⻑⼥は、病院の勧めで⽗親が市の事故救済制度に加⼊していることを思い出し、⻑⼥がコールセンターに電話すると保険会社が対応し、クリーニング代や営業損失として約 14万円が保険から店側に⽀払われました。

 

両親は、この店の味も雰囲気も気に⼊っているといい、⻑⼥は「店は両親にとって憩いの場。第三者が解決してくれたおかげで、わだかまりがなく、今も気持ちよく⾏ける」と喜びます。

 

神戸市によると、認知症の⼈が他⼈の⾃転⾞を持ち帰って損傷し、市が約 1万6000円の⾒舞⾦を所有者に⽀給したケースもあるということです。

 

神戸市は 2019年 1⽉に、65歳以上の市⺠を対象に無料で認知症を診断する助成制度を創設。

早期受診を促すとともに、診断された⼈の保険加⼊にもつなげる狙いがあります。

 

希望者はまず、普段通院しているクリニックなどで簡単な問診による検診を受けます。

疑いがあれば専⾨病院で精密検査を受診し、認知症かどうかなどの診断を受けられます。

 

9⽉末までに約 8,700⼈が検診を受け、精密検査の結果、約 1,100⼈が認知症と診断されました。

ほかで診断された⼈も含め、保険の加⼊者は約 3,400⼈(昨年 10⽉末時点)に上ります。

 

「神⼾モデル」の運営には年約 3億円かかりますが、市は個⼈市⺠税(均等割)を 1⼈年 400円上乗せし
て賄います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

720万円の損害賠償を家族に求める

認知症の 91歳男性が列車にはねられ死亡し、JR東海が介護していた家族に約 720万円を支払うように求めた裁判、2016年 3⽉の最⾼裁判決は「家族が監督義務者かどうかの判断では、同居の有無などを総合的に考慮すべきだ」としたうえで、家族は監督義務者にあたらないとの判断を⽰しました。

 

1、2審の賠償命令を破棄し、家族側が逆転勝訴致しました。

 

ご紹介しました認知症の⼈の事故を補償する⺠間保険の活⽤事業は、神奈川県⼤和市が 2017年 11⽉に導⼊。

その後、愛知県⼤府市や東京都葛飾区、富⼭市などでも開始されるなど、各地に広がっています。

 

国も被害救済の制度化を検討しましたが、「救済の範囲や財源などの幅広い議論が必要だ」として、実現していません。

2019年 6⽉に策定した認知症施策推進⼤綱でも、「⾃治体の事例の政策効果の分析を⾏う」としている
段階です。

 

終の棲家を何処で構えるか、という判断材料に「⾼齢者が安全安⼼して暮らせる街」というポイントは今
後益々⾼まると思われます。

 

以前、ご紹介しました⼤府市や加古川市のように、街ぐるみで⾼齢者が安⼼して暮らせる街作りに取り組
む場所は安心して老後を暮らせる街として今後は注目されることでしょう。

 

⼈⼝が減少する中、⾼齢者が安⼼して暮らせる安全な街が活気ある街であり続けられたらと思います。

 

 

 

 

 

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