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2019/11/16

「遺言」と対抗要件の関係性変更

相続人が複数いる相続において、一番の問題は遺産の分割方法をどのようにするか、ということです。

しかし、遺産分割協議がまとまらない場合には法定相続分に応じた分割等を検討することになります。

 

 

 

 

 

 

各共同相続人は相続分に応じて承継

民法(相続法)においては、「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する(第899条)」とあります。

つまり、「持分は相続分によって決まる」ということになりますから、遺産の中に不動産を含む場合には、法定相続分に応じた所有権の承継が原則となるということです。

この原則を変更することができるのが遺産分割協議であり、遺言者が生前に作成した遺言である、ということは今まで何度となくお伝えしてきた通りです。

そして、いわゆる「相続させる旨の遺言」により特定の相続人が遺産である不動産の承継を指定された場合には、登記なくして第三者に対抗できるという判例により、当該相続人は相続債権者等の第三者に対して、当該不動産の移転登記をしていない場合でも、自身の権利を主張し、差し押さえ等の無効を主張できた(対抗することができた)のが、今まで(令和元年6月末日)のお話です。

 

 

 

相続法により判例が覆る

改正相続法が施行された令和元年 7月 1日より、この判例を覆す規定が施行されました。
その規定というのは新設規定で、「相続における権利の承継は、遺産分割によるものかどうかに拘わらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない(第899条の2第1項)」というものです。

「相続させる旨の遺言」(「特定財産承継遺言」という略称がつきました)により特定の相続人が遺産である不動産の承継を指定された場合、「法定相続分を超える部分」に関しては、登記なくして第三者に対抗することができなくなったのです。

 

 

 

 

 

相続登記は早い者勝ち?

相続人が長男と二男の二人だけの場合、「甲不動産を長男と二男に持分2分の1(50%)ずつ相続させる」という遺言内容であれば、法定相続分通りなので、長男も二男も登記をしなくても自身の権利を第三者に主張する(対抗する)ことが可能ですが、「甲不動産を長男に持分100%で相続させる」という遺言内容のときは、長男の法定相続分2分の1(50%)を超えているので、「その法定相続分を超えた部分(本来であれば二男の持分である50%)」に関しては登記をしなければ第三者に自身の権利を主張する(対抗する)ことができないということになります。

例えば、「甲不動産を長男に持分100%で相続させる」という遺言があった場合、長男が移転登記をする前に、第三者である二男の債権者が二男の持分2分の1に対して差し押さえをしたとき、長男は第三者である二男の債権者の差し押さえに対して無効を主張することができず(対抗できず)、その差し押さえは有効なものとなってしまい、長男は甲不動産の全ての所有権を取得することができなくなってしまうのです。

 

 

 

相続登記の重要性が見直される

相続法の改正により今までの判例が覆された例ですが、相続における移転登記の重要性が見直されるきっかけになるのかもしれません、また、この新設規定に伴い、対抗要件を具備する行為を遺言執行者ができるようになった(但し、改正法施行以降に作成された遺言から適用)ことも見逃せないポイントです。

 

 

遺言書プラスアルファの対策は必須

遺言があっても揉める、遺言が無ければ もっと揉める、と常々お伝えしておりますが、相続法の改正により、遺言書を基本としたトータルでの準備が必要になります。

遺留分侵害額請求の対策しかり、税制の有効活用しかり、保険の有効活用もしかりです。そして、分割できない不動産の相続対策は、しっかりと対策を致しましょう。

「判断能力が衰えてからでは遅い」ということも忘れずに。

 

 

 

 

カバン屋さんの相続争い

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