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2019/10/21

連帯保証人を見つけられず退去命令

奈良市内の県営住宅に住む生活保護利用者の女性(60)が離婚を機に、住居の名義人を元夫から自身に変更するのに当たって求められた連帯保証人を見つけられず、県から住居の明け渡しなどを求められた訴訟の判決言い渡しが18日、奈良地裁でありました。

女性側は「連帯保証人を入居承継の要件とすることは、住宅に困窮する低所得者の保護を目的とした公営住宅法の趣旨に反する」として、県の請求の棄却を求めましたが、藤本ちあき裁判官は「連帯保証人は合理的な要件というべで、公営住宅管理者の裁量権の逸脱・乱用とまではいえない」として、女性に住居の明け渡しを命じました。

また、賃貸契約解除から明け渡しまでの期間の賃料相当損害金として、月当たり5万3400円を支払うよう命じました。

 

 

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離婚後の継続居住での連帯保証人

判決によると、県は2015年1月、元夫の男性に県営住宅を賃貸。女性は夫とともに入居しましたが、17年6月に離婚。元夫は転居し、県営住宅には女性が単独で居住することになりました。女性は県に対し、名義変更を相談したが、担当職員は、入居承継には連帯保証人が必要と説明。女性は、連帯保証人になってくれる人がいないと述べました。

女性側は連帯保証人を見つけられなかったことについて「唯一の肉親である妹とは断絶状態で、ほかに親しい親族もいなかった」といいます。

県は18年6月、元夫との賃貸契約解除した。女性は同年9月、連帯保証人を用意できないまま入居承継承認申請を行ったが、県は受理しなかった。女性は同月以降、毎月、家賃分の2万700円を奈良地方法務局に供託してきました。

 

 

連帯保証人は慣行として定着

裁判では、連帯保証人を入居承継の要件とすることについて、女性側は「公営住宅法が定めている入居者資格は、基準以下の収入であることや住宅に困窮していることで、連帯保証人という要件は特段考慮されていない」と主張。

これに対し藤本裁判官は「地方公共団体が裁量権の行使として、ほかに合理的な要件を付加することは許容されていると解される」「居室の賃貸借における連帯保証人は慣行として定着している」などとしました。

また、女性側は、入居承継を県に相談した当時、県営住宅条例には新規入居に対しては連帯保証人を求める規程があったが、入居承継に対しては連帯保証人の規程がなく、これを要件としたことは違法と主張。

これに対し藤本裁判官は「公営住宅法は資格要件を条例事項とすることまでは求めていない。新規入居と入居承継で連帯保証人を求める必要性や合理性に特に差異はない」などとした。

女性の代理人の吉田恒俊弁護士は判決に対し、「国民、市民を守るという観点がなく、行政側に立った内容」と批判。女性は「行き場のない私にどこへ行けというのか」と怒り、控訴の意向を示しました。

 

 

2親等以内の親族がいない者

連帯保証人を巡っては、県は18年3月、県営住宅条例を改正し、入居を希望する生活保護の利用者やDV(配偶者からの暴力)被害者、障害者、高齢者などを対象に、連帯保証人の免除を可能にしました。しかし、「2親等内の親族がいない者」との条件を設けました。この女性のように妹がいても、連帯保証人を引き受けてもらえないケースもあり、条例改正の趣旨が十分に生かされない恐れがあります。

総務省が2018年1月に公表した「公的住宅の供給等に関する行政評価・監視 結果報告書」は、「公営住宅は、国土交通省において、住宅セーフティーネットの中核として位置づけられているものの」「民間賃貸住宅への入居に困難を伴うとされる高齢者や障害者、生活保護受給者等が保証人を確保できないことにより入居辞退した例がみられ、その機能を十分に発揮しているとは言い難い状況にある」と課題を指摘。

全国の地方公共団体には佐賀市のように、こうした保証人免除の対象者について、親族がいないことを条件にしていないところもあります。

 

 

2019/10/19   ニュース「奈良の声」

 

 

 

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