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2019/07/15
タワマン規制の波紋
神⼾市のタワーマンション規制に関する話題が広まりを⾒せています。
そうした中、東洋経済オンラインの 『⾏き過ぎた都⼼回帰に 「待った」 がかかった』 という記事が興味深かったので、抜粋しご紹介させて頂きます。
神⼾市の誤算
神⼾市随⼀の繁華街である三宮(さんのみや)。
⼀帯にはオフィスやマンションが林⽴し、兵庫県庁や神⼾市役所などの⾏政機関も⽴ち並びます。
JR三ノ宮駅を中⼼に阪急・阪神電鉄、地下鉄駅などを含めると、1⽇に数⼗万⼈が利⽤する⼀⼤ターミナルを形成しています。
ところが、そのにぎわいに冷や⽔を浴びせかねない事態が起きているのです。
7⽉1⽇、神⼾市議会で「タワマン禁⽌令」とも呼べる条例が可決された。
条例が施⾏される来年 7⽉からは、JR三ノ宮駅周辺ではマンションや⽼⼈ホームなどがいっさい建設できなくなります(下の地図の⾚囲み部分)。
規制はその周辺地域(緑囲みの部分)にも及び、住宅部分の容積率(敷地⾯積に対する延べ床⾯積の割合)が最⼤でも 400%までに制限されます。
敷地⾯積は1000平⽅メートル以上が対象で、建物の形状にもよりますが、おおむね 8〜 10階程度の中規模マンションが限界で、タワーマンション(タワマン)は到底建てられません。
この条例に対しては、「都⼼回帰の流れに逆⾏するものだ」とエリア内でマンション開発実績のあるデベロッパーからは困惑の声が上がっています。
それでも今回、神⼾市がこうした強硬策に乗り出した背景には、従来の市の政策における「誤算」があったのです。
もともと三宮は容積率が緩和されており、現在の容積率は最⼤で 900%にも達します。
緩和の狙いは、「企業や店舗の誘致を促すこと」(神⼾市)でした。
ですが、市の意向とは裏腹に、近年の都⼼回帰や職住近接の動きを受け、利便性の⾼い三宮にタワーマンションが続々と建設されていきました。
東洋経済が調べたとこ ろ、今回の規制対象区域内には 20階建て以上のタワーマンションが、建設中を含め少なくとも 24棟存在 します。
1棟に数百世帯がひしめくタワマンは、それだけで⼈⼝の押し上げ要因となります。
税収アップにも寄与する ため、⾃治体にとっては決して悪い話ではありません。
それでも神⼾市がタワマンを問題視するのは、市内の⼈⼝バランスに歪みが⽣じているからなのです。
管理状況にも懸念が
三宮が含まれる神⼾市中央区の⼈⼝は、この 20年間で 3割近くも増加。
他⽅で、神⼾市全体の⼈⼝は 2012年から減少に転じています。
久元喜造神⼾市⻑は、「中央区に対する⼈⼝の⼀極集中を抑⽌し、神⼾ 市全体にバランスのとれた⼈⼝配置ができるようなまちづくりが必要だ」と市議会で答弁しています。
市によれば、急激な⼈⼝増加によって、同区では⼩学校などの教育施設が逼迫しているということです。
そうして神⼾市は昨年 9⽉に「タワーマンションのあり⽅に関する研究会」を設⽴。
そこで議題に上がっ たのが、タワマンの管理状況への懸念でした。
2015年に市がタワマン居住者向けに⾏った調査では、8割以上の住⺠がマンション内での付き合いが「ほとんどない」もしくは「あまりない」と回答しました。
さらに、マンションごとの修繕積⽴⾦が国⼟交通省の⽰す基準よりも不⾜していることを挙げ、管理組合の機能不全によってマンションの維持管理が滞れば、「スラム化の恐れもある」とまで⾔い切りました。
市全体での⼈⼝バランスの平準化から、神⼾市の外れに位置し開発が進んでいなかった垂⽔区については、逆に容積率を緩和する措置も盛り込みました。
既存のマンションへの配慮から、建て替えに伴う建設のみ 1回限り認めるよう条例案が修正されました。
タワマン規制は横浜市が先駆け
中⼼市街地でのタワーマンション建設を封じる条例は、横浜市が先駆けて 2006年に制定しています。
横浜駅および関内駅周辺でのマンション建設を禁⽌し、それより外側の⼀定地域では住宅部分の容積率の上限を 300%に設定。神⼾市よりさらに厳しい規制です。
神⼾市においても、規制のかからない敷地⾯積が 1000平⽅メートル未満のマンションを中⼼に、積極的 な開発は続くと⾒られています。
むしろ業界からは、「タワマンが今後建てられないとなれば、既存物件の希少価値が上がるだろう」という声もあります。