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2019/07/09

「フレイル」対策で寝たきり予防〔下〕

7日に引き続き 【フレイル 対策】 について、時事メディカルの記事をお伝え致します。

 

フレイルは要介護の原因 第3位

加齢にともなう体重減少や筋力低下などが複合的に起こる「フレイル」は認知度が低いが、要介護の原因第3位を占めており、今後の高齢化対策のキーワードとなることが予想される。フレイルの段階で対策をとれば健康な状態に引き返すことができるとあって、老年医学の専門医たちが啓発に乗り出した。今回はどうすればフレイルを予防できるのか、具体策を紹介したい。

フレイル対策に取り組む誠愛リハビリテーション病院(福岡市)の長尾哲彦院長は「日常生活に困らないくらいの筋力は、いくつになってもつけられる。だからフレイルは可逆的なのです。生活習慣を変えることは、とても難しいですが、最初はほんの小さなことでも、ふだんの生活の中でできることを取り入れてほしい」とアドバイスする。

 

 

まずは、つかまり立ち

 

 

ただ立って座るだけでも

フレイル予防が大切と分かっても、ふだん何もしていなかった人が筋トレを始めるのはハードルが高い。そこで、実際の症例で日常生活に取り入れられる小さな努力から紹介したい。

長尾院長が実際に担当した80代の男性。胸腰椎の圧迫骨折をきっかけに日常生活の活動度ががたんと落ちてしまい、病院を退院したあとも、「また骨折するのではないか」と心配でじっとしている生活が続いてしまった。

長尾院長は、家の中で無理なく始められる運動として、まず「つかまり立ち」するようアドバイスした。

「家にいてテレビを見ていることが多く、座り始めると延々と座っているということでした。そこで、『コマーシャルになったら、テーブルなどしっかりしたものにつかまりながら立ったり座ったりを繰り返してください』と言いました。ただ立って座るだけですが、脚の筋肉を使うので、立ち座りは自立した生活を維持するための基本です」

立ち座りがスムーズにできるようになったら、座るときにゆっくりと時間をかけて座る。すると、より多くの筋力が必要になる。次は何かにつかまったまま片足で立つなどして、少しずつステップアップしていく。

「やってみると、月単位で明らかに改善していき、最初のうちは奥さんが手を添えて介助しながら診察室に入ってきていたのが、半年くらいすると一人でさっさと歩いて奥さんを後に残して入ってくるようになりました」

 

 

インタビューに応える長尾哲彦院長

 

 

 

脅しより褒める

本人が「人の世話にならないように」と自主的に運動する場合は効果も出やすいが、なかなかやる気にならない場合、家族の協力が重要だ。

「ただ、人間はマイナスを指摘されるのは誰でも嫌なもの。『~しないと要介護になる』と脅かす言葉は禁物です。『私が心配だから』とお願いする形や、いいところを積極的に褒める方が効果的です」

とはいえ、長年暮らしてきた家族のことを褒めるのは気恥ずかしいという人も多いのでは?

「その人のタイプによっても、何が効果的か違いますから一概には言えませんが、『昔、ゴルフしてたとき、なかなか決まってたよ』『いくつになっても、運動している姿はかっこいいね』とか、どんなことでも構いません。褒められて嫌な気持ちになる人はいないものです」

 

 

がんばったら報酬を

「生き物である以上、何かを頑張るには報酬があると効果的です」。スクワットを1週間続けたら、何か好きなものを食べる、どこか好きなところへ出かけるなど、できるだけ具体的にゴールを設定するのがコツだという。

「特に男性の場合はモノの報酬よりも、まわりから『すごいね』と言われることの方がいい。外出を嫌がった場合、『~さんが、あなたが来てくれないと寂しいって』など、必要とされていることを強調すると、心に響くようです」

足は肩幅に開いて、かかとを上げたり下ろしたり(つま先立ち)を行う

 

 

足踏みで体を温める

日常生活の活動に支障が出ないよう、より積極的な最低限の筋トレメニューを紹介してもらった。「体重を支える下半身の筋肉を鍛えることが大切です。足腰が弱ってくると、活動性が低くなり、フレイルにつながるので、悪循環の連鎖を食い止めることが重要です」

筋トレの前に、有酸素運動をして体を温めることから始めよう。いきなり外へ出てウオーキングするのは大変という人は、テレビを見ながらその場で足踏みをするだけでもよい。これなら雨の日も問題なくできるし、夏の暑い日にはクーラーをかけた部屋でできる。最初は7~8分程度が目安だが、体力がつくにつれ、徐々に時間を延ばしていく。

 

 

スクワットと呼ばれる動き。椅子に腰かけるような感じでひざを曲げたり伸ばしたりする

 

 

ふくらはぎ、太ももを鍛える

壁などに手をついた状態で、足は肩幅に開いて、かかとを上げたり下ろしたり(つま先立ち)を行う。姿勢が前かがみにならないよう、まっすぐ立つことがポイント。

ステップ台や階段などの段差を使って、足を半分宙に浮かせた状態で行うと、かかとをおろしたときの可動域が広くなるので、より効果的。20回1セットが目安。

スクワットと呼ばれる動きで、椅子に腰かけるような感じで、上半身はまっすぐ垂直に保ったまま、ひざを曲げたり伸ばしたりする。上がってくるときに反動を使わず、お尻の筋肉を意識するのがポイント。曲げたとき、ひざはつま先より前に出ない。

10回1セットで2セットが目安。

 

 

 

中高年から予防したい

両足を開いて、片足ずつ重心をかけて、内転筋と外転筋、中殿筋をストレッチ。軸になる脚をなるべく深く曲げ、体重をかけるのがコツ。左右交互に行う。

 

 

片足ずつ重心をかけて、内転筋と外転筋、中殿筋をストレッチ

 

 

10回1セット×2回が目安。

フレイルは可逆的な状態だとは言っても、重症化するほど戻りにくい。外出がおっくうになって、いったん家にこもりがちになると、再び活動性を取り戻すには、大きなエネルギーが必要になるからだ。

「やはり中高年から体を動かし、人付き合いをまめにすることが大切です。人とのつながりがあれば、外出して、誰かと一緒に食事をする機会もありますし、自然と歩く習慣が身に付きます。外出して人と会うこと自体が社会的フレイルの予防になります」

フレイルはある日突然陥るものではなく、年単位でジワジワと進んでいくもの。気が付いた時には、後戻りできなくなっている、という状況にならないよう、早めの気づきと対策を心がけたい。(医療ジャーナリスト・中山あゆみ)

 

2019/7/7   時事メディカル

 

 

「フレイル」対策で寝たきり予防〔上〕

最善願い、最悪に備える!

 

 

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