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2019/07/07

「フレイル」対策で寝たきり予防〔上〕

時事メディカルの記事 【「フレイル対策」で 寝たきり予防】 をお伝え致します。

 

 1日中、座ったままで体を動かさず、食事は適当に済ませる、という生活が続いている人は、将来「フレイル」になる可能性が高い―。誠愛リハビリテーション病院(福岡県大野城市)の長尾哲彦院長(老年医学)は「要介護状態にならないために、フレイル対策は不可欠。フレイルの段階なら、健康な状態に戻ることができる。年だから衰えるのは仕方ないとあきらめず、意識して予防することが大切」と警鐘を鳴らす。団塊の世代が75歳の後期高齢者に突入すると、介護施設も介護職員も大幅に不足することが予測されている。
要介護にならずに健康寿命を延ばすためにカギとなる「フレイル」とは?

「フレイル」対策で寝たきり予防〔上〕 人生の最後まで元気に自分らしく

 

「要介護」原因の第 3位

 フレイルとは、高齢者が要介護状態に陥る前段階の心身の活動性が低下した状態のこと。要するに「老衰」と言われてきたさまざまな加齢現象の前段階を表す言葉だ。2014年5月、日本老年医学会がフレイル対策の必要性を訴え、ステートメントを発表したが、まだ一般的な認知度は低いようだ。

「市民講座で『フレイルを知っている人』と手を挙げてもらうと、ゼロでした。医療関係者ですら詳しく知らないことがある。もっと啓発していかなければ」と長尾院長は話す。

2016年度の国民生活基礎調査によれば、要介護の原因は 1位が認知症、 2位が脳梗塞などの脳血管障害、 3位がフレイルで転倒・骨折よりもわずかに多い。

 

 

 

 

さらに年齢別にみると、要介護の原因のうちフレイルの占める割合が 70代後半から急激に増加。 80代後半になるとダントツ 1位となる。平均寿命と健康寿命のギャップを埋められる可能性はここにある。

 ◇五つの基準

 フレイルの判定基準では、体重減少、疲労感、身体活動の低下、歩行速度の低下、筋力低下のうち1~2項目があてはまるとプレフレイル、三つ以上だとフレイルと判定される。

(1)体重が 6カ月で 2~3キロ以上減少

 メタボ対策が注目される一方、高齢者の栄養不足が問題になっている。「とくに独居の男性に多いのですが、女性でも子供の独立や配偶者の死をきっかけに、食事を作る意欲をなくし、食生活がおろそかになってしまう人が多い」

コンビニ弁当を買っていたのが、次第に買いに行くのさえ面倒になって、その辺にあるものをつまんで済ませる。カップ麺だけ、自分の好きなものだけしか食べないとなると、栄養バランスは偏る。そうこうするうちに体調が悪くなり、おなかもすかなくなって、どんどん痩せていく。

「太っているから安心というわけではありません。栄養のバランスが悪い人は体重だけで判断はできません。一方、ダイエットしたわけでもないのに体重が減っていく場合は要注意です」
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口の中の状態が悪化するオーラルフレイルの状態から、だんだん食べられなくなってしまうケースも多いという。「食事がいいかげんになると、生活のリズムが崩れ、歯磨きすらしなくなる。すると口の中の状態がどんどん悪くなって、さらに食べられなくなってしまう悪循環に陥ります」

(2)疲労感=ここ2週間、わけもなく疲れたような感じがする

 体がだるくて、歯も磨きたくない、ご飯を食べるのもおっくう、お風呂にも入りたくないという状態は、気を付けたほうがいいです。

 

 

「フレイル」対策で寝たきり予防〔上〕 人生の最後まで元気に自分らしく

 

 

(3)身体活動の低下=軽い運動、体操、定期的な運動をしていない

 定年退職し、外出する用事がなければ、出かけるきっかけがなくなり、家に閉じこもりがちになる。「フレイルの人はだいたい1日中、テレビのお守りをしていて、ほとんど外出しない。これは明らかに活動量の低下に当てはまります」

ゴルフなどは人とコミュニケーションをとり、体を動かすので、お勧めだというが、耳が聞こえづらくなったり、物忘れがひどくなったりすると、人と交わること自体が嫌になってしまい、足が遠のいていくという。

 

(4)歩行速度の低下=毎秒1メートルより遅い

 ふだん自分の歩行速度を秒速で測ることはないので、わかりにくい基準といえる。「『外来では信号を渡るのに、ちょっと不安が出てきていませんか』という聞き方をしています。歩くのが遅くなるということは、筋力低下、バランス感覚の低下、視力の低下などの身体能力が低下していることの現れです」

 

(5)筋力低下=男性握力26キロ未満、女性18キロ未満

 握力が全身の筋肉と相関することから握力が目安とされているが、家に握力計がある人はあまりいないだろう。「椅子に座ったり立ったりを5回繰り返すのに13秒以上かかると、3年後には日常生活の活動が制限されるというデータがあります」

 

 

「フレイル」対策で寝たきり予防〔上〕 人生の最後まで元気に自分らしく

インタビューに応える長尾哲彦院長

 

 

年のせいで済ませない

 いずれも「年のせい」で済ませてしまいそうな項目ばかりだが、人生100年時代をできるだけ健康にすごすためには、自然の成り行きに任せておくわけにはいかなくなってきた。

「ほんの少し前までは医師ですら、加齢現象だから仕方がないというスタンスでした。しかし、フレイルは可逆的な状態。対策を取れば健康な状態に戻れるのだから、悪くなっていくのを食い止めなければいけなません」

 

 

健康寿命とのギャップ

 かつては自然な加齢現象と捉えられていた状態をフレイルと定義して、介入していく方針が示された背景には、日本人の健康寿命と平均寿命の間に大きなギャップがあるという問題がある。

厚生労働省の2016年の調査によると、男性は平均寿命80.98歳に対し、健康寿命は72.4歳と約8年のギャップがあり、女性は平均寿命87.14歳に対し、健康寿命は74.79歳と約12年のギャップがある。

この差の部分は、介護などが必要になる期間となる。日本人は長寿を世界に誇るとはいえ、その質を見ると要介護の期間が長い。

「健康な状態から介護の状態に入っていく、ちょうど中間の状態がフレイルですから、何とか要介護状態にならないよう元に戻すことが重要。そこを何とかして超高齢社会を活気あるものにしようと、国も医療者も考えています」

医療技術の進歩や栄養状態の改善によって、長くなった寿命をどう生きるのか一人ひとりが考え、実行する時期にきている。フレイル予防はお金がかからず、日々の小さな努力でできる。次回(7日)は、フレイルの具体的予防策を紹介する。(医療ジャーナリスト・中山あゆみ)

 

2019/7/6  時事メディカル

 

 

「フレイル」対策で寝たきり予防〔下〕

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