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2019/06/23

介護チームの瓦解

毎日新聞 医療プレミア より 【1人暮らし高齢者を支える「チーム介護」瓦解の危機】 をお伝えします。

身近なお客様の中で、介護のお仕事をされていた方が介護業界から離れられることが目に付くようになりましたが、理由が少し判ったような気がした記事です。

 

 

自宅療養を支える多職種の専門スタッフ

桜の花が開き始めた今年3月下旬、JR川崎駅にほど近い巨大団地で1人暮らしをする田島寿一さん(86)の部屋を、訪問診療「いきいきクリニック」(川崎市幸区)の作業療法士、石山亜希子さんが元気よく訪ねてきた。「今日は朝あったかかったね」「うん。でも朝はだるかった」。たわいのない2人の会話が続く。

田島さんは8年ほど前から、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)を患い、酸素ボンベを携行する在宅酸素療法を続けている。体を動かすと息切れしたり、せきやたんが出たりする。自立歩行はできるが、腰部脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症で腰から足にかけてひどいしびれがあり、左目が弱視のため、今は要介護度 1 と認定されている。月2回、いきいきクリニックの武知由佳子院長(51)が訪問診療をして、自宅で過ごせるようにしている。

 

毎週水曜日と金曜日は石山さんが訪問し、田島さんの硬くなった胸の筋肉をほぐす。COPD患者の症状の一つ「息苦しさ」をやわらげるためのリハビリだ。体力を維持するため、石山さんは田島さんと一緒に散歩もする。

 

 

田島さん(右)の体調を尋ねる石山さん。小さな体調の変化も見逃さない=川崎市内で2019年3月20日、鈴木敬子撮影

田島さん(右)の体調を尋ねる石山さん。小さな体調の変化も見逃さない=川崎市内で2019年3月20日、鈴木敬子撮影

 

 

田島さんの在宅療養をさまざまな人たちが連携して支えている。介護保険でカバーされる訪問介護のヘルパー(生活援助、週6日)、医療保険でカバーされる訪問看護の看護師(入浴介助、週3日)、訪問マッサージ師(週4日)。部屋のほこりはCOPD患者の“大敵”なので、ヘルパーの室内清掃は欠かせない。薬剤師が定期的に薬を届け、管理栄養士が訪問して栄養指導もする。一方、食料品や日用品の買い出しは、近所に住む長女や孫が手伝う。

チームの誰かが田島さんの体調不良のサインをキャッチすると、チームリーダーの武知医師にすぐ伝わる。田島さんは「調子が悪い時はすぐ武知先生が来てくれるから安心」と話す。在宅療養の「多職種連携」がうまく機能している例だろう。

かといって、すべてを人任せにしているわけでもない。自分のスマートフォンに日々の食事やストレッチなどの運動内容を記録し、体調管理を心がける。介護制度に関わる情報は、10年来の付き合いのケアマネジャーと相談して取り入れている。

田島さんは、医療と介護保険のサービスをうまく組み合わせ、住み慣れた自宅で療養できている。病院や施設に閉じ込められず、ある種理想の暮らしを送っていると言えるのではないか。

 

 

田島さんはスマホのメモ帳に食事や運動内容を毎日記録している=川崎市内で2019年3月20日、鈴木敬子撮影

田島さんはスマホのメモ帳に食事や運動内容を毎日記録している=川崎市内で2019年3月20日、鈴木敬子撮影

 

 

おひとりさまが自宅で最期を迎えられる“条件”とは

千葉市稲毛区の大規模マンション集会所で3月、講演会「最期まで自分らしく生きるには」が開かれていた。千葉県松戸市の三和病院で在宅医療に携わる高林克日己(かつひこ)医師(70)が、参加した高齢者50人を前に終末期医療、在宅医療について語った。

介護してくれる家族がいないと在宅医療は難しい、というイメージがあるが、高林さんは「1人暮らしの場合はだめかというと、そうでもない」と話し、過去に担当した男性患者(当時72歳)の事例を紹介した。

団地暮らしの男性は妻と別れていて、子どもも頼れる親族もいない“おひとりさま”。前立腺がんが見つかった時はすでに腰の骨に転移し、下半身を動かせず感覚もない状態だったという。だが入院せず、「最後までここ(自宅)にいたい」と強く希望した。

その後がんが全身に広がって外来受診できなくなり、訪問診療をすることになった。高林さんは医療用麻薬を使ってがんの痛みをコントロールしたという。

 

 

「本人に覚悟があれば、最後まで自宅で一人で暮らせます」と話す高林克日己医師=千葉市稲毛区で2019年3月19日、中村好見撮影「本人に覚悟があれば、最後まで自宅で一人で暮らせます」と話す高林克日己医師=千葉市稲毛区で2019年3月19日、中村好見撮影

 

 

男性の最大の楽しみは「たばこを吸う」ことだった。病室では吸えないが、自宅なら好きなように吸える。高林さんは「失火が心配だから訪問者がいる時だけ吸うように注意していましたが、まさに在宅療養だからこそできたことでした」と振り返る。

亡くなる1カ月前には看護師やホームヘルパーと一緒に焼き肉店に行き、食事をした。男性はみんなと食卓を囲んでとても楽しそうだったという。その直後の2018年12月、最後の訪問診療をした翌朝、呼吸の止まった男性をヘルパーが見つけた。安らかな顔だった。

高林さんは「最後まで自宅で1人で暮らすのに最も大事なことは、本人の強い意志と覚悟です」という。さらに、男性が人生最後の時を心穏やかに過ごせたのは、高林さん、看護師、ヘルパーが男性の意思を尊重し、思いやりある支援を続けたからだろう。

問題は、このような「支える仕組み」を今後も維持できるかどうかだ。

 

 

国は介護の土台「家事支援」の報酬額を引き下げ

望むと望まないとにかかわらず、病気の独居高齢者が自宅で療養できるのは、掃除や調理などの「生活支援サービス」を受けられるからだ。

 

 

石山さん(奧)によるリハビリを受ける田島さん。リハビリの際は人工呼吸器を装着する=川崎市内で2019年3月20日、鈴木敬子撮影
石山さん(奧)によるリハビリを受ける田島さん。リハビリの際は人工呼吸器を装着する=川崎市内で2019年3月20日、鈴木敬子撮影

 

 

支援を受けて生活基盤をある水準に保てるからこそ、在宅医療も実現できる。ところが今、この「支える仕組み」が次第に崩れつつあるというのだ。ヘルパー人材の不足は著しく、募集しても応募ゼロの地域がじわじわと増えている。「医師よりもヘルパーの方が100倍貴重な人材だ」と明かす医師もいる。

国は18年、介護報酬を改定した。介護サービスのうち、身体介護(排せつ、入浴介助、着替えなど)を重視した一方、掃除、洗濯、調理など「生活援助」の基本報酬額を引き下げた。

 

国は15年にも、「要支援1、2」の軽度の人向け訪問介護や通所介護について、サービスの提供を全国一律ではなく市区町村の事業に切り替えている。要介護1~5の利用者が受ける介護保険事業とは別になり、「介護予防・日常生活支援総合事業」として取り扱われるようになった。

その結果、高齢者宅で洗濯や調理などの生活支援をする「訪問型サービスA」については、これまで必要だったホームヘルパーの資格は必要なくなり、自治体によっては、数日間の研修を受けるだけで従事者になれることになった。

狙いは介護資格を持たない住民を「介護の担い手」と位置づけ、介護現場の人材不足を補うことだが、その結果何が起きたか。「訪問型サービスA」のサービス単価が低くなり、事業者の収入が落ち込んだ。また働いても報酬が安すぎるので人材を確保できず、依頼されても安定してサービスを提供できなくなったというのだ。

 

 

病気の重症化から孤独死に直結するリスク

北九州市の訪問介護事業所を経営していた女性は「要介護度を進行させないために、細々とした生活支援が役立っていたが、報酬額引き下げで人材不足になり、十分な支援ができなくなった。国は生活支援を軽く見すぎている」と憤る。

生活支援を受けずに部屋がちらかれば、転倒して寝たきりになるリスクが高まる。調理支援を受けられず食事がおろそかになれば、低栄養から病気になるかもしれない。報酬額引き下げは、高齢者の生活基盤崩壊を招く恐れがある。

 

 

 

 

 

 

日本ホームヘルパー協会の青木文江会長は「今後高齢化が進むと、いくら報酬額を引き下げ、介護保険料を上げても財源が常に不足する事態が続く。人材を集め、サービスの質を維持する新しい仕組みを作らないと、介護保険サービスそのものが崩壊する」と危機感を募らせる。

生活支援が行き届かない高齢者の自宅療養は、病気の重症化から孤独死に直結しかねない。

 

高齢者人口急増のリスク

 

 

 

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