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2019/06/09

介護施設で高齢者が『助手』

人手不足が深刻な介護業界で、高齢者を活用する動きが全国で広がってきました。25を超える都道府県でベッドメークなど補助業務に特化した仕事を担当する「助手」として採用されている。介護福祉士など資格を持つ職員には本来の業務に集中してもらう狙いです。介護は2025年度まで55万人の人手確保が必要とされており、元気な高齢者の活躍が欠かせなくなりました。

 

 

 

 

 

掃除やベッドメーク、食事の配膳で給与

「介護士などの専門職が、より利用者と接する時間を増やせるようになった」。介護大手、ツクイで東京都西部の多摩北エリアを管轄する細野雪枝エリア長はこう利点を話す。同社は17年から介護助手の受け入れを始め、3月末時点で263人が働いている。このうち65歳以上が25%の67人、60歳以上だと35%の91人がいる。

介護助手に明確な定義はないが通常、掃除やベッドメーク、食事の配膳など介護の周辺業務を手掛ける職員を指す。1日3時間、週3日程度で余裕を持って勤務するケースが多く、施設から給与が出るのが一般的です。

 

 

高齢者らの介護助手が増えれば専門の職員は自身の業務に集中できる(東京都練馬区の施設)

高齢者らの介護助手が増えれば専門の職員は自身の業務に集中できる(東京都練馬区の施設)

 

老人保健施設協会が主導して始まった三重県では県の基金を活用し、介護助手の採用にかかる費用を補助しています。18年10月時点で約120人が介護老人保健施設で働いており「ほぼ全てが60歳以上」(三重県老人保健施設協会)という。全国では高齢者の活用は東京都や神奈川県、福岡県など25を超える都道府県に広がりました。

 

 

2025年度末で55万人が不足

介護助手が脚光を浴びている背景には、慢性的な人手不足の問題がある。介護業界で働く人は16年度末時点で190万人。厚生労働省の試算では25年度末に245万人が必要になる見通しで、55万人の人手が不足します。

足元でも採用に苦労しており、18年度の介護関係者の有効求人倍率は3.95倍で全職種の2.7倍に達しています。

介護を受けたり寝たきりになったりせず、日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」は16年までの12年間で男女ともに2歳以上延びている。定年退職後、社会とのつながりを求めるシニア世代の活躍の場として生かせれば、人手不足対策の一助となります。

介護助手を導入することで「介護福祉士」など専門的な職員の負担が軽減され、高齢者への直接的な介助や高齢者の家族との相談など、より高度なサービスに集中できる利点もあります。全国に先駆けて制度を始めた三重県では、導入施設で介護職員の離職率が半分以下に低下しており、介護人材の需給ギャップの縮小につながっています。

厚労省は高齢者の参加を促すため、18年から介護の基礎知識を学ぶ入門者向けの研修制度を整えました。19年度も都道府県と合わせて124億円の予算を計上し、受け入れ体制の整備を進めます。

大和総研の石橋未来研究員によると「海外では欧州を中心に、介護サービスの専門性に応じた業務分担が行われる傾向がある」という。労働集約的な介護業界に闇雲に人材を集めても、生産性向上は見込めない。専門職が高度なサービスを提供し、産業の付加価値を高めていくためにも業務の分業化が欠かせなくなっています。

 

 

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