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2019/03/01

北九州市で斜面地の居住制限検討

 

『北九州市が災害発⽣の危険性が⾼い ⼀部の斜⾯地の住宅地について居住を制限する検討に⼊りました。』

 

北九州市が検討を始めたのは災害発⽣の危険性がある斜⾯住宅地について都市計画区域における 【市街化区域】 から、開発が制限される 【市街化調整区域】 へ編⼊するというものです。

 

市街化調整区域に編⼊されても即⽴ち退きを要求されるわけではありません。

しかし、住宅の新築や既存建物の建て替えなどは、⼀定の制限がかかることになります。

 

斜⾯地の住居を長期的に減らし、ゆくゆくはゼロにしようという取り組みです。

 

 

 

 

 

より安全で安⼼な地域へ居住誘導を決断

北九州市⻑は 『安全安⼼のまちづくりを進めるうえで、⾏政としては、災害のリスクが⾼い地域に新たな住⺠を増やさないようにするとともに、より安全で安⼼な地域への居住誘導を決断していかなければなりません』 (抜粋) とコメント。

 

⽇本ではこれまで、⼀部の⾃治体が⼭林などの市街化区域を市街化調整区域に編⼊した事例はありますが、住⺠が居住している斜⾯住宅地を対象とした検討は初の試みです。

 

 

 

福岡県下で2番⽬に⼤きな都市

北九州市は約94万⼈( 2019年 2⽉現在)の⼈⼝を抱える政令都市で、福岡県下2番⽬の⼤都市です。

 

⾼度経済成⻑期などの都市拡⼤期において、⼭の斜⾯にまで住宅地のスプロール現象(無秩序に拡⼤していく現象)が進⾏。

その結果、市内の各所に斜⾯住宅地が造成され、今も多くの斜面住宅地が存在しています。

 

北九州市内で市街化区域と土砂災害特別警戒区域が重複する面積は約 120万m2にも及びます。

 

斜⾯住宅地では移動が困難な⾼齢者の増加や⼈⼝減少により、建物の⽼朽化や空き家の増加による治安の悪化など、様々な問題を抱えています。

とくに、政令指定都市の中でも最も⼈⼝減少や少⼦⾼齢化の進⾏が早い北九州市においては、斜⾯住宅地を中⼼に住宅市街地の低密度化や地域活⼒の低下が進むことで、厳しい財政状況下での市⺠⽣活を⽀えるサービスの提供が困難になることが想定されていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

⻄⽇本豪⾬でリスクが露呈

こうした状況も踏まえて北九州市では2018年3⽉に 【コンパクトなまちづくり】 を推進するべく、〔北九州都市計画マスタープラン〕 を改訂。

そうしたなか、2018年7⽉ 【⻄⽇本豪⾬】 が発⽣しました。

北九州市内で住⺠2名がお亡くなりになられたほか、市内407ヵ所で崖崩れが発⽣。

そのうち315ヵ所は市街化区域内であり、その約9割の 281ヵ所が斜⾯住宅地で発⽣したものでした。

斜⾯住宅地における災害発⽣リスクの⾼さが改めて露呈したかたちとなりました。

 

北九州市建築都市局都市計画課では、【安全性】【利便性】【集積性】【社会環境】【経済性】【⾃然環境】 という6つの指標を基に、独⾃に市街化区域から市街化調整区域への⾒直し候補地の抽出を実地。国交省の評価指標や数値基準を参考として評価基準を定め図に⽰しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

北九州市では今年 1⽉に斜⾯住宅地の住⺠約 1,000世帯を対象としたアンケートを実地。

 

今後、斜⾯住宅地の住⺠の意⾒や要望を聞いて最終の⾒直し候補地の決定を⾏っていく計画とのこと。

 

居住地の制限は資産価値にも影響する重要な施策です。

 

北九州市の今後の取り組みが、安全安心な街造りと政府が提唱するコンパクトシティの参考となるのか否か、試金石となるのか否か、要注⽬です。

 

 

 

 

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